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空き家を「貸す」から「泊まる場所」へ

2026.07.23(Thu)

宿泊施設落合ブログ

空き家を「貸す」から「泊まる場所」へ

空き家、どう活かしますか?

相続した実家、転勤で空いたままの持ち家、住み替えで手放せずにいるマンション。 「とりあえず賃貸に出しておけば安心」——そう考える方は少なくありません。

たしかに賃貸は、毎月決まった額の家賃収入が入る安定感があります。空室リスクさえ抑えられれば、堅実な選択です。

しかし、その空き家、本当に「貸す」以外の道は検討されたでしょうか。

近年増えているのが、空き家を宿泊施設として活用するという選択肢です。民泊、ゲストハウス、簡易宿所——形態はさまざまですが、うまく運用できれば賃貸の3倍程度の収入も見込めるケースがあります。

今回は、賃貸と宿泊施設、それぞれの収益構造の違いと、空き家を宿泊施設に変えるという選択について考えてみます。

賃貸という選択の安心感と限界

賃貸経営の最大の魅力は、収入が「読める」ことです。

  • 入居者が決まれば、毎月ほぼ一定額の家賃が入る
  • 長期入居が前提のため、管理の手間が比較的少ない
  • 金融機関の融資審査でも実績として評価されやすい

一方で、賃貸には構造的な限界もあります。家賃は立地と広さでほぼ決まってしまい、そこから大きく収益を伸ばすことは難しいのが実情です。1泊あたりの単価という発想がそもそも存在しないため、「稼働率を上げて収益を伸ばす」という選択肢がありません。

つまり賃貸は、安定はしているが、天井が低い収益モデルだと言えます。

宿泊施設という選択 ― 変動はあるが、伸びしろがある

これに対して宿泊施設は、収益の構造がまったく異なります。

家賃のように「月いくら」という固定額ではなく、「1泊いくら × 何泊埋まったか」という掛け算で収益が決まります。立地や季節、イベント需要、運営努力によって稼働率と単価を上げられるため、条件が揃えば賃貸を大きく上回る収益を狙えます。

一般的な目安として、賃貸の2〜3倍程度の収入が見込めるケースがあると言われています。もちろんこれは形態や立地、運営の巧拙によって幅がありますが、「収益に伸びしろがある」という点は、賃貸にはない大きな魅力です。

ただし当然、良いことばかりではありません。

  • 稼働率が読みにくく、収入が月によって変動する
  • 清掃・リネン交換・ゲスト対応など、運営の手間が発生する
  • 旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)など、法規制への対応が必要
  • 賃貸より初期投資(内装・設備)がかかる場合が多い

「安定の賃貸」か「伸びしろの宿泊施設」か。これはどちらが正解というより、その空き家に何を求めるかによって答えが変わる問いです。

宿泊施設化にはどんな形態があるのか

一口に「宿泊施設」と言っても、選べる形態はいくつかあります。

住宅宿泊事業(民泊新法) 年間提供日数180日以内という制限はありますが、比較的始めやすく、既存の住宅をそのまま活かしやすい形態です。空き家の初期活用としてまず検討されることが多い選択肢です。

簡易宿所(旅館業法) 日数制限がなく、通年での運営が可能です。その分、フロント設備や換気・採光など、建築基準法・旅館業法上の設備要件が発生します。本格的に収益化を狙うなら選択肢に入ってきます。

ゲストハウス・シェア型宿泊 1棟貸しではなく個室単位で複数のゲストを受け入れる形態。稼働率を安定させやすい一方、共用部の設計や運営体制がより重要になります。

どの形態を選ぶかによって、必要な改修の範囲、初期費用、法的手続きが大きく変わってきます。

なぜ「リノベーション」が鍵を握るのか

空き家を宿泊施設として成立させるうえで、実は住宅リノベーションと同じ考え方が活きてきます。

私たちが中古マンションのリノベーションで大切にしているのは、間取りや設備を先に決めるのではなく、「そこでどう過ごしてほしいか」という体験から設計を組み立てることです。これは宿泊施設でも変わりません。

  • どんなゲストに、どんな滞在をしてもらいたいのか
  • 動線は清掃のしやすさ・宿泊のしやすさの両方を満たせているか
  • 空き家が持っていた「その土地・その建物の記憶」をどう活かすか

古い建物をただ改装するのではなく、その空間の物語を編集し直すという発想。これは住まいのリノベーションでも、宿泊施設への転用でも、根っこは同じです。

法規制をクリアするための最低限の改修に留めるか、それとも「ここに泊まりたい」と思わせる体験価値まで踏み込んでつくり込むか。この差が、稼働率という形で収益に跳ね返ってきます。

空き家の「次の使い道」を、収益から逆算して考える

空き家をどう活かすか。「とりあえず賃貸」という選択は、悪くはありませんが、唯一の正解でもありません。

  • 安定した収入を優先するなら「賃貸」
  • 手間と変動リスクを受け入れてでも収益の伸びしろを取りにいくなら「宿泊施設」

そして宿泊施設という道を選ぶなら、その成否を分けるのは法規制への対応だけでなく、空間としての設計の質です。

空き家の活用方法にお悩みの方は、賃貸ありきで考える前に、一度「宿泊施設」という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いているのは、横浜を拠点に、東京・神奈川・横浜でリノベーション設計施工、全国でリノベーション設計を手がける株式会社MADARAです。住宅やオフィス・店舗、収益不動産・宿泊施設まで、空間の物語から設計しています。

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