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中古戸建て宿泊施設化|マンションとの違いと用途地域の注意点

2026.07.27(Mon)

宿泊施設落合ブログ

中古戸建て宿泊施設化|マンションとの違いと用途地域の注意点

中古物件を宿泊施設にリノベーションする

この選択肢を検討し始めたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「そもそも、その物件で本当にできるのか?」という壁です。

そしてこの壁は、大きく2つに分かれます。

1つ目は、物件の「所有形態」による壁。マンション(区分所有建物)か、戸建て(一棟所有)かという違いです。 2つ目は、土地の「用途地域」による壁。どんなに条件の良い物件でも、法律上そもそも宿泊施設として使えないエリアが存在します。

今回は、この2つの壁を中心に、中古戸建てを宿泊施設化する前に必ず押さえておきたいポイントを整理します。


壁①:マンションでは、なぜ難しいのか

「専有部分は住宅として使用すること」という規約

分譲マンションには、区分所有法に基づいて管理規約が定められており、区分所有者はこれに従う必要があります。国土交通省が示す「マンション標準管理規約」には、専有部分を専ら住宅として使用し、他の用途に供してはならないという趣旨の条文が置かれており、多くのマンションがこの規定を踏まえて、民泊・宿泊事業を禁止する規約改正を行ってきました。

禁止の仕方には2つのパターンがあります。

  • 全面禁止:住宅宿泊事業法(民泊新法)だけでなく、旅館業法(簡易宿所)や特区民泊も含めてすべて禁止するパターン
  • 民泊新法のみ禁止:民泊新法だけを禁止し、旅館業法の許可を取得すれば運営可能とするパターン

つまり、同じ「マンション」でも管理規約の内容次第で扱いが変わるため、区分所有者が個人の判断だけで宿泊施設化を進めることはできません。管理組合の総会や規約を確認せずに運営を始めてしまうと、後から使用禁止請求など法的措置を受けるリスクもあります。実務上は、まず書面による是正通知が行われ、それでも是正されない場合に区分所有法に基づく法的措置に進むという段階を踏むのが一般的です。

さらに、2026年4月には区分所有法の改正が施行され、老朽化マンションの管理・再生を円滑にする観点から、管理組合側の議決要件などが見直されています。今後、違法な宿泊施設運営に対する管理組合の対応もより迅速になっていくことが見込まれ、マンションでの「なし崩し的な運営」はますますハードルが上がっていくと考えられます。

戸建てなら、この壁がそもそも存在しない

一方、戸建て(一棟)にはそもそも「区分所有」という概念がありません。管理組合も管理規約も存在しないため、マンションのような「他の所有者の合意を得られるか」という不確実性から解放されます。

判断の主体がオーナー自身だけで完結する——これが、宿泊施設化を検討するうえで戸建てが持つ、最大のアドバンテージです。


壁②:戸建てなら何でもOKというわけではない

とはいえ、戸建てであれば無条件にどこでも宿泊施設化できるわけではありません。ここで登場するのが「用途地域」という、もう1つの壁です。

用途地域とは何か

用途地域とは、都市計画法に基づいて土地の使い方を制限する制度で、住居系・商業系・工業系を合わせて全国で13種類に区分されています。それぞれの地域ごとに建てられる建物の種類や規模が細かく定められており、宿泊施設(旅館業・簡易宿所)を営業できるかどうかも、この用途地域によって大きく左右されます。

特に注意したいのが、第一種・第二種低層住居専用地域です。これは用途地域の中でも最も規制が厳しい部類に入り、低層住宅を中心とした良好な住環境を守ることを目的としているため、原則として旅館・ホテル営業はできません。閑静な戸建て住宅街として人気のあるエリアほど、実はこの用途地域に該当している可能性が高いという、少し皮肉な構造があります。

同様に、工業地域や工業専用地域なども、宿泊施設としての利用に制限がかかることがあります。

「用途地域が指定されていないから安心」とも限らない

さらに注意が必要なのは、市街化調整区域や非線引き区域(いわゆる「白地」地域)です。市街化調整区域では、観光地など一部の例外を除き、原則として旅館業の営業はできません。また、非線引き区域は基本的に営業が可能とされていますが、「地区計画」が定められているエリアでは、実質的に第一種低層住居専用地域と同等の制限がかけられている場合があります。特に、比較的新しく開発された分譲住宅地などにこの地区計画が設定されているケースが多く、見た目だけでは判断がつきません。

つまり、「用途地域図でグレーゾーンに見えるから大丈夫」と自己判断せず、物件購入前に自治体の窓口や重要事項説明書で必ず確認することが欠かせません。

建築基準法上の「用途変更」にも要注意

用途地域をクリアしても、もう1つ確認すべきなのが建築基準法上の「用途変更」です。住宅として建てられた建物を旅館・ホテル(簡易宿所)として使う場合、原則として用途変更の手続きが必要になり、変更する部分の床面積が200㎡を超える場合は確認申請が必須となります。一般的な戸建て住宅であればこの規模に収まることが多いですが、増築を重ねた物件などは事前の確認が重要です。


物件を選ぶ前に確認したい2つの質問

中古物件の宿泊施設化を検討するなら、物件を選ぶ前に、次の2つを必ず確認してください。

  1. その物件は「区分所有」か「一棟所有」か → マンションであれば、管理規約で宿泊事業が禁止されていないかを必ず確認する。戸建てであれば、この壁自体が存在しない
  2. その土地の用途地域は何か → 第一種・第二種低層住居専用地域、市街化調整区域、地区計画が指定されたエリアでないかを、自治体や重要事項説明書で確認する

この2つをクリアして初めて、「収益性」や「改装費用」といった、より具体的な検討に進むことができます。逆に言えば、この前提を確認しないまま物件選びや資金計画を進めてしまうと、後になって「そもそも運営できなかった」という事態になりかねません。

物件探しの一番最初のフィルターとして、この2つの視点をぜひ持っておいてください。

この記事に関連する話題 ▶ その物件を、選ばれ続ける空間に。(収益不動産をお考えの方へ)

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この記事を書いているのは、横浜を拠点に、東京・神奈川・横浜でリノベーション設計施工、全国でリノベーション設計を手がける株式会社MADARAです。住宅やオフィス・店舗、収益不動産・宿泊施設まで、空間の物語から設計しています。

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