「同じようなエリアで、同じような広さなのに、なぜあの宿は予約が埋まっているんだろう」
民泊運営に関わっていると、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
空室が続く物件と、常に予約で埋まっている物件。その差は、実は「価格」だけでは説明がつきません。
価格勝負は、いつか必ず限界が来る
もちろん、価格設定は集客に影響する要素のひとつです。相場より高すぎれば選ばれにくくなりますし、逆に安さだけを武器にすれば、短期的には予約が入ることもあるでしょう。
しかし、価格だけで戦う宿には弱点があります。
それは
「もっと安い宿が現れたら、簡単に乗り換えられてしまう」
ということです。
価格勝負とは、常に自分より安い誰かに脅かされ続ける戦い方です。体力のある大手や、新規参入の物件に価格で対抗し続けるのは、決して持続可能な戦略とは言えません。
予約が入る宿にあるのは「体験」と「宛先」
予約が埋まっている宿を観察すると、共通しているのは次の2点です。
1. 泊まることで、どんな体験ができるかが明確
古民家の梁を活かした空間で非日常を味わいたい人、
家族や仲間と静かな時間を過ごしたい人、
写真映えする空間でSNSに投稿したい人
——「ここに泊まると、こんな時間が過ごせる」というイメージが、写真や文章から伝わってくる宿は、選ばれる理由がはっきりしています。
2. 誰に向けた宿なのかが決まっている
「誰にでも合う宿」を目指した結果、実は「誰の記憶にも残らない宿」になってしまうケースは少なくありません。
予約が入る宿は、ターゲットが明確だからこそ、その人にとって「まさにこれが欲しかった」と刺さる宿になっています。
つまり、予約が入る宿とは、価格ではなく「体験の設計」と「ターゲットの解像度」で選ばれている宿なのです。
「誰に泊まってほしいか」から逆算する
MADARAが民泊のリノベーションに関わる際、最初に考えるのは間取りでも内装材でもなく、「この宿に、誰に泊まってほしいか」という問いです。
- 静けさを求める大人二人旅なのか
- にぎやかに過ごしたいグループ旅行なのか
- 長期滞在するワーケーション層なのか
この宛先が定まって初めて、内装のトーン、家具の選び方、アメニティの充実度、写真の撮り方まで、すべての意思決定に一本の軸が通ります。逆にここが曖昧なまま進めてしまうと、無難ではあるけれど誰の心も動かさない空間になってしまいます。
どうせ泊まるなら、期待できる宿を
旅行者の立場に立って考えてみても、同じことが言えます。
安いだけの宿は「とりあえず眠れればいい」という選択にしかなりませんが、「ここでしか味わえない時間がありそうだ」と期待させてくれる宿は、多少価格が高くても選ばれます。
むしろ、その期待こそが、価格以上の価値として認識されるのです。
そしてその期待は、レビューやリピート、SNSでの拡散という形で、次の予約を連れてきます。予約が入り続ける宿とは、一度の宿泊体験が次の集客につながる「良い循環」を持った宿なのです。
まとめ
予約が入る民泊と入らない民泊の違いは、豪華さでも価格でもなく、「誰のために、どんな体験を用意しているか」が明確かどうかにあります。
既存の建物を活かしながら民泊を始めたい、あるいは今の宿の稼働率を上げたいとお考えの方は、まず「この宿に、誰に泊まってほしいか」を一緒に考えるところから始めてみませんか。