「民泊を始めれば儲かるらしい」——そんな話を耳にして、実家の空き家や遊休不動産の活用を検討している方は少なくありません。
結論から言えば、民泊経営は「儲かる」こともあれば「儲からない」こともあります。同じような立地、同じような築年数の建物でも、稼働率も収益も大きく差が出るのが実情です。その差を生むのは、価格設定でも、写真の質でもありません。開業前の「設計」段階で決まる、たった3つのポイントです。
ポイント1:そのエリアに、そもそも宿泊需要はあるか
民泊経営の土台になるのは、立地そのものの需要です。どれだけ内装にこだわっても、そのエリアを訪れる人がいなければ予約は入りません。
観光地に近いのか、出張需要のあるビジネスエリアなのか、あるいはイベントや帰省需要が見込める地域なのか。周辺の宿泊施設の稼働状況や、地域の観光客数の推移、交通アクセスなどを事前にリサーチすることが欠かせません。加えて、旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)上、そのエリアで宿泊事業が可能かどうかという法規制の確認も、収益化の前提条件になります。
需要のない場所にどれだけ投資をしても、収益は積み上がりません。まずはこの土台を疑うところから始める必要があります。
ポイント2:誰に向けた宿なのか
需要があるエリアだと分かったら、次に考えるべきは「誰に泊まってほしいか」です。
ファミリー層なのか、インバウンドの観光客なのか、一人旅や少人数のワーケーション利用者なのか。ターゲットが変われば、必要な寝室数も、水回りの数も、動線の設計も、家具や設備のグレードもすべて変わってきます。
「とりあえず万人受けする無難な宿」を目指すと、結果的に誰の記憶にも残らない宿になってしまいます。ターゲットを絞り込むことは、宿の個性を明確にすることであり、選ばれる理由をつくることでもあります。ここが不明確なまま設計や内装を進めてしまうと、せっかくのリノベーション費用が的外れな投資になりかねません。
ポイント3:その宿ではどんな体験ができるのか
そして最後に、そして最も重要なのが「体験」の設計です。
今や宿泊施設は、寝るためだけの場所ではありません。特にターゲットが絞られた一棟貸しの民泊では、「その宿でしか味わえない体験」が予約の決め手になります。古材や梁を活かした空間で暮らすような滞在体験、地域の暮らしを感じられるしつらえ、五感で季節を感じる庭や土間のある暮らし——私たちMADARAが大切にしている「見立て」の発想は、まさにこの体験設計そのものです。既存の建物が持つ歴史や個性を活かし、そこにしかない物語を宿に落とし込むことで、価格競争に巻き込まれない「選ばれる宿」になります。
まとめ:儲かる民泊は「逆算」でつくられる
民泊経営が儲かるかどうかは、運任せではありません。
- エリアに需要があるか
- 誰に向けた宿なのか
- どんな体験を提供できるのか
この3つを開業前にきちんと言語化し、そこから空間設計を逆算していくこと。これが、稼働率と収益を最大化する一番の近道です。
古い建物や空き家の活用を検討されている方は、リノベーションの前に、まずこの3つの視点で自分の物件を見直してみてください。