マンションリノベーションで、多くの人が最初につまずく発想
マンションのリノベーションを考えるとき、多くの方がまず口にするのは「もっと広く見せたい」という言葉です。
壁を取り払う、収納を減らす、家具を最小限にする——いわゆる「広さ」を稼ぐための引き算です。
もちろん、それも一つの正解です。しかし私たちMADARAが設計で本当に大切にしているのは、面積という数字ではなく、「奥行き」という感覚です。
同じ70㎡のマンションでも、「ただ広い部屋」と「奥行きのある部屋」では、住んだときの心地よさがまったく違います。その差を生んでいるのが、視線がどこまで抜けていくか——「視線の抜け感」です。
奥行きとは、視線が旅をする距離のこと
奥行きとは、単純な床面積の話ではありません。玄関に立ったときに、視線がどこまで遮られずに進んでいけるか。リビングのソファに腰かけたときに、目の前にどんな景色が続いているか。その「視線が旅をする距離」こそが、空間の質感をつくっています。
見立ての手法で既存の建物と向き合うとき、私たちはまず間取り図の上に「視線の通り道」を描きます。玄関からリビング、リビングから窓の外、窓の外から借景となる緑や空へ——ひとつながりの奥行きとして設計できないかを検討するのです。
壁一枚、建具一枚の位置を数十センチずらすだけで、視線の抜けは劇的に変わります。数字上の面積は増えていなくても、体感の広がりは何倍にもなる。これが、私たちが「広さ」より「奥行き」を優先する理由です。
上質な住まいに共通する、3つの「抜け」
私たちがマンションリノベーションで意識している視線の抜けには、いくつかのパターンがあります。
1. 水平の抜け——部屋から部屋へ リビング・ダイニング・キッチンの間仕切りを見直し、視線が一直線に通る配置にする。手前の部屋が奥の部屋の存在を予感させることで、実際の広さ以上の奥行きが生まれます。
2. 垂直の抜け——床から天井へ 折り上げ天井や梁の見せ方、照明の配置によって、視線が上にも抜けていく感覚をつくる。天井の低いマンションほど、この垂直方向の工夫が効いてきます。
3. 外への抜け——室内から窓の外へ 窓辺の家具配置やカーテンの選び方一つで、室内と室外の境界を曖昧にする。窓の外の景色までもが、住まいの「奥行き」の一部になります。
派手な仕掛けは必要ありません。むしろ、そこに何もない「間(ま)」や余白をどう残すかという、引き算の美学に近いものです。侘び寂びの精神で古いものと向き合ってきた私たちだからこそ、足すのではなく、削り、通すことで生まれる豊かさを大切にしています。
「広さ」の数字より、「暮らし方」の質を
内見のときに「広い」と感じた部屋に住んでみたら、なんとなく落ち着かなかった——そんな経験はないでしょうか。逆に、決して大きくはない部屋なのに、不思議と居心地がよく、来客にも褒められる住まいもあります。
その違いをつくっているのは、坪数ではなく設計の解像度です。どこに立ち、どこを見たときに、どんな景色が続いているか。住む人の一日の動線ひとつひとつに対して、視線の抜けを丁寧に設計できているかどうか。
MADARAでは、マンションという「決められた箱」だからこそ、その中でどれだけ視線の物語をつくれるかに、設計の面白さがあると考えています。面積を変えられないマンションリノベーションこそ、奥行きの設計思想が真価を発揮する舞台なのです。
マンションリノベーションをご検討の方へ 「広さ」で妥協するのではなく、「奥行き」で満足できる住まいを。既存の間取りに眠る視線の可能性を、一緒に見つけていきませんか。
特に、都内マンション・都内タワーマンション、横浜市中区・西区・みなとみらいエリアに物件をお持ちの方は、ぜひMADARAにご相談ください。もちろん、その他のエリアの物件についても幅広く対応しておりますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。