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マンション特有の制約(梁・柱・設備)を「魅力」に変える空間設計

2026.09.25(Fri)

落合ブログ

マンション特有の制約(梁・柱・設備)を「魅力」に変える空間設計

マンション・タワーマンションの「制約の多さ」は、個性の伏線である

タワーマンションは、高い耐震・耐火性能や設備計画を実現するために、一般的な低層マンション以上に構造や設備の制約が多い住まいです。

天井から張り出す梁型、部屋の一角に立つ柱型、間取りの都合上どうしても生まれるパイプスペース(PS)の出っ張り——リノベーションを検討する際、これらを「なんとか隠したい欠点」として捉える方は少なくありません。

しかし、MADARAが大切にしている「見立て」の思想では、こうした制約は隠すべきものではなく、空間の個性を生み出す伏線として捉えます。何もない均質な空間よりも、構造上の癖がある空間のほうが、実は豊かな設計の余地を持っているのです。今回は、タワーマンション特有の制約を、どのように魅力へと転換できるか、その考え方をご紹介します。

梁型は「隠す壁」ではなく「空間を分けるリズム」

天井から下がる梁型は、多くの方が最も気にされる制約の一つです。天井高が部分的に低くなることを嫌い、梁を石膏ボードで覆って平らな天井に見せようとする方法もありますが、その分、部屋全体の天井高が下がってしまうという副作用があります。

MADARAでは、梁をあえて「見せる」、あるいは「空間を緩やかに分けるための境界線」として活かす発想を大切にしています。

  • 梁の位置を境に、天井の仕上げ材や色を切り替え、リビングとダイニングを緩やかにゾーニングする
  • 梁型に沿って間接照明を仕込み、天井の凹凸そのものを陰影の演出に変える
  • あえて梁を構造そのものとして見せる「あらわし」の仕上げにし、無骨さを個性として取り込む
  • 梁の低い位置をソファの背面など、もともと人が長時間頭上を気にしない場所に配置する

天井をフラットにすることだけが正解ではありません。梁がある場所とない場所の高低差を、空間に緩急をつけるための道具として捉え直すことで、単調になりがちな一室空間に奥行きが生まれます。

柱型は「邪魔者」ではなく「オブジェ」や「背もたれ」

部屋の一角に張り出す柱型も、家具配置の自由度を下げる要因として敬遠されがちです。しかし、この柱型もまた、視点を変えれば空間に個性を与える存在になります。

  • 柱の周囲を造作の飾り棚で囲み、柱そのものをディスプレイ用のニッチに転用する
  • 柱の側面を、書斎コーナーやベンチの背もたれとして機能させ、空間に自然な「間仕切り」をつくる
  • あえて柱の存在を隠さず、素材(左官仕上げや石材など)で丁寧に仕上げ、空間のランドマークのような存在にする
  • 柱を挟んで空間の用途を切り替え(例:リビング側とワークスペース側)、視線と動線に緩やかな区切りを与える

柱を「ないもの」として扱おうとすると、どうしても無理のあるレイアウトになりがちです。むしろ柱の存在を空間設計の前提として受け入れ、そこから発想を広げることで、既製の間取りにはない独自性が生まれます。

パイプスペース(PS)は「隠す出っ張り」から「造作の起点」へ

キッチンや浴室まわりに生じるパイプスペースの出っ張りも、タワーマンションでは避けて通れない制約の一つです。多くの場合、これは壁の一部として目立たないよう処理されますが、MADARAでは、この出っ張りを新たな造作を生み出す起点として活用することを検討します。

  • PSの出っ張りに厚みを持たせ、その奥行きを利用してニッチ収納や飾り棚を造作する
  • キッチン背面のPSをパントリーの一部として取り込み、収納量を確保しながら見た目をすっきりさせる
  • 洗面まわりのPSを利用して、タオル収納や間接照明を仕込んだニッチをつくる
  • 出っ張りの側面を利用して、空間を緩やかに仕切る袖壁のような役割を持たせる

「なるべく薄く、目立たなく」処理するのではなく、「その厚みを生かして何を生み出せるか」を考えることで、制約はそのまま設計のアイデアの種になります。

制約を活かす設計は、「隠す」から「見立てる」への発想転換

梁・柱・パイプスペースに共通するのは、いずれも「構造や設備上、動かすことができない」という制約です。だからこそ、これらをどう隠すかではなく、どう活かすかという発想への転換が重要になります。

均質でフラットな空間は、一見理想的に思えるかもしれません。しかし実際には、何の癖もない空間よりも、構造の制約を読み解き、そこに意味を持たせた空間のほうが、記憶に残る奥行きと個性を持つ住まいになります。これは、既存の建物が持つ骨格を読み解き、そこに新しい価値を見出す「見立て」という、MADARAが一貫して大切にしている設計思想そのものです。

タワーマンションならではの制約は、決して弱点ではありません。丁寧に読み解き、活かす発想を持つことで、既製の間取りでは決して生まれない、その住まいだけの個性に変えることができます。


こんなエリアでのご相談をお受けしています

横浜市中区・西区・みなとみらいエリアのマンション、都内のタワーマンションで、「今の住まいを、もっと質の高い空間にしたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。間取りや面積の制約がある中でも、照明計画と余白のデザインによって、空間の印象を大きく変えるご提案が可能です。

もちろん、上記エリア以外のマンション・戸建てのリノベーションについても、幅広くご相談いただけます。エリアを問わず、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事に関連する話題 ▶ あなたの人生が、空間になる。(住まいや働く場づくりで、大切にしていること) ▶ 空間は、人を変える。(時を経るごとに良くなった、ある家の話)

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この記事を書いているのは、横浜を拠点に、東京・神奈川・横浜でリノベーション設計施工、全国でリノベーション設計を手がける株式会社MADARAです。住宅やオフィス・店舗、収益不動産・宿泊施設まで、空間ブランディングの視点で設計しています。

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