空き家になった古い一戸建て。「売るしかない」「賃貸に出すしかない」——そう思い込んでいませんか。
実は今、古い戸建てを一棟丸ごとリノベーションし、宿泊施設として貸し出す「一棟貸し」という活用法が注目されています。単なる賃貸経営とは収益構造がまったく異なり、条件が整えば賃貸の数倍の収益を上げることも可能です。
今回は、古屋リノベーションによる一棟貸し宿泊施設化について、その可能性と考え方を整理してお伝えします。
賃貸の数倍の収益を上げることも可能
古い戸建てを賃貸に出した場合、家賃は周辺相場によってほぼ決まってしまいます。築年数が古く、駅から距離があるような物件であれば、月数万円という水準にとどまることも珍しくありません。
一方、宿泊施設として一棟貸しにした場合は、「1泊あたりの単価」×「稼働日数」という構造になります。立地や設え、体験価値次第では、1泊数万円という価格設定も十分に成立します。仮に月の半分が稼働しただけでも、賃貸経営を大きく上回る収益になるケースは少なくありません。
もちろん、清掃や運営、法令対応といったコストや手間は発生します。しかし「古いから貸せない」「安くしか貸せない」という前提そのものを覆せる可能性がある、というのが一棟貸し宿泊施設の大きな魅力です。
一見難しそうなエリアでも、あきらめずに
「うちのエリアは観光地でもないし、駅からも遠いから無理だろう」——そう感じる方は多いはずです。
しかし、宿泊施設としての価値は必ずしも「観光地に近いかどうか」だけでは決まりません。むしろ、静かな住宅街や自然に囲まれた郊外、古き良き町並みが残るエリアだからこそ提供できる体験があります。
- 都市の喧騒から離れた「非日常」を求める層
- 地方でのワーケーションや長期滞在を検討する層
- あえて観光地ではない「暮らすように泊まる」体験を求める層
こうしたニーズを踏まえて設計すれば、一見不利に見える立地でも、むしろそれが強みに変わることがあります。大切なのは、立地条件をそのまま受け止めるのではなく、「誰に、どんな体験を届けるか」というコンセプトから逆算して物件の価値を再定義することです。
インバウンド需要と複数人利用のニーズ
追い風となっているのが、訪日外国人観光客の増加です。観光庁の調査によれば、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円と過去最高を更新し、前年から大きく伸びています。2026年に入ってからも宿泊費への支出は前年同期を上回るペースで推移しており、宿泊需要そのものが拡大を続けています。
こうした訪日客の中には、家族旅行やグループ旅行で複数人での滞在を希望する層が一定数存在します。ホテルの一室では対応しきれない「大人数でひとつの空間を共有したい」というニーズは、一棟貸し宿泊施設と非常に相性が良い市場です。
さらに国内でも、友人同士の女子旅、家族の帰省・法事、企業の合宿やチームビルディングなど、複数人でまとまって宿泊したい場面は数多くあります。ホテルの複数室を予約するよりも、一棟を貸し切ったほうが「一緒に過ごす時間」そのものの価値が高まる、という声も少なくありません。
ホテルでは体験できない、「一棟にみんなで泊まる」価値
ホテルは、快適さや効率性においては優れた選択肢です。しかし、一棟貸し宿泊施設には、ホテルにはない独自の価値があります。
- リビングやダイニングを全員で共有し、家にいるように過ごせる
- キッチンで自炊や持ち寄りパーティーができる
- 部屋を隔てず、同じ屋根の下でひとつの時間を過ごせる
- 古民家ならではの梁や土間、庭など、その建物にしかない空間体験がある
これは「泊まる」というより「暮らす」「集う」という体験に近いものです。ホテルの均質なサービスとは異なる、その場所・その建物だからこその物語を、宿泊者に届けられることが一棟貸しの本質的な強みです。
古い戸建てのリノベーションによる一棟貸し宿泊施設化は、単なる空き家活用ではなく、「その建物でしか味わえない体験」を設計する仕事です。
- 賃貸とは異なる収益構造で、数倍の収益も視野に入る
- 立地条件は不利に見えても、コンセプト次第で強みに変えられる
- インバウンドや複数人利用という追い風がある
- ホテルにはない「一棟で集う」体験価値が求められている
大切なのは、建物の古さや立地をそのまま受け止めるのではなく、「誰のために、どんな時間を届けたいか」という問いから設計を始めることです。空き家になった古屋の活用にお悩みの方は、ぜひ一度、宿泊施設化という選択肢を検討してみてください。