なぜあの家は、時を経るごとに良くなったのか? ——人生が空間に現れるとき、一体感が生まれる
前回のブログに残した問いへの、答え。
最後に、こう書きました。
「ただ、一つだけ、しばらく解けない疑問が残っていました。なぜあの家は、時を経るごとに良くなり続けたのか?——。」
今回は、その答えを書きます。
あのご夫婦の家を設計するとき、私はこんなことを聞いていました。
バンクーバーで暮らしていた思い出を大切にしたい。(過去)
今は夫がギターを弾く部屋がほしい。部屋を増やしたい。(現在)
その部屋は、将来は子どものための部屋にしたい。(未来)
友人を呼んで鍋を囲むとか、みんなで楽しみたい。(未来)
これを受けて、カナダの雰囲気を感じる素材や色合いを選び、LDKを間仕切壁で区切り一部屋増やしながら内装窓で明るさと開放感を保ち、テーブルの下には床コンセントを設けました。
工事中の様子
過去の記憶、現在の暮らし、未来への願い。クライアントの人生そのものが、設計とデザインとして空間に現れていたのです。
自分の思い出があり、自分の今があり、自分の夢がある空間。それはもう、ただの「部屋」ではありません。
私の人生が、この空間に現れている。この空間は、私である——。
そう感じられる空間を、大切にしないわけがありません。自分の分身、自分の写しだから。
リビング。テーブルの下に床コンセント
キッチンからリビングを眺める
大切にするから、さらに豊かになる。豊かになった空間は、居心地の良さとなって自分に返ってくる。だからもっと好きになって、もっと工夫する。
人と空間が与え合う、良い循環が始まるのです。
この循環が起きると、空間はただ美しくなるだけではありません。
住宅であれば、自己肯定感が上がり、人間関係が豊かになる。店舗や宿泊施設であれば、ファンがつき、売上につながる。オフィスであれば、採用しやすくなり、スタッフのモチベーションが上がる。
空間と人の一体感が、暮らしや仕事の質を変えていく。
人生が空間に現れるとき、
人と空間の一体感が生まれる。
その一体感が、与え合う循環の始まりです。
だからMADARAでは、間取りや内装やデザインの話が先なのではなく、
あなたの人生の話を先に聞かせてもらっています。
あなたの人生を空間に表現していきたいのです。