愛着は、精神論ではなく不動産戦略である。 ——収益不動産に愛を込める理由
「なるべく工事費を安く済ませたい」「利回りさえ出ればいい」——収益不動産はこう語られることが多い。でも、この考え方では長続きしません。
なぜか。価格や利回りだけでつくられた空間には、使い続けられる理由がないからです。気に入っていない空間には手をかけない。掃除もメンテナンスも後回しになり、価値は下がっていきます。
オーナーの想いや物語を込めた不動産には、自然と愛着が生まれます。愛着が生まれると、こういう循環が始まります。
行動の質が上がる → 体験価値が上がる → 口コミ・評価が上がる → 収益が上がる。
その出発点は、オーナー自身が「自分の大切な場所」と感じられるかどうかです。オーナーの背景や歴史を空間に込めることで、その不動産はオーナー自身の「大切な場所」になります。大切な場所だから、管理の質が上がる。空間がさらに豊かになる。良い口コミが生まれる。それがまた集客につながり、収益になる。
そして、使う人への愛も大切です。どうしたら喜んでくれるかを徹底的に考えることです。誰のための空間かが決まり、その人が喜ぶ体験がデザインに込められているとき、利用者はその空間を自分が迎えられている「自分のための場所」と感じます。自分のための場所は、また来たくなる。口コミに書きたくなる。
江戸時代から農家を営んできた土地の記憶
新小岩の宿泊施設では、江戸時代から農家を営んできたオーナー一族の歴史と誇りをコンセプトの核心に据えました。代々受け継いできた土地への誇りが空間に宿るから、大切にしたくなる。管理の質が上がる。空間がさらに豊かになっていく。
畑の向こうに連なる山脈を想起させる壁
農作物の納屋をイメージさせる和室
田んぼの水面のような水紋のタイル
そしてこんな口コミをいただいています。
「建物に入った瞬間に歓声が上がるほど素敵な空間でした」
「今までで一番綺麗で快適な素晴らしい宿でした」
「和モダンなデザインがとても落ち着く雰囲気でした」
使ってくれる方が喜んでくれている。この口コミを見たオーナーも、嬉しい気持ちになれるのではないでしょうか?その喜びがさらに空間を良くしたいという意欲につながる。
収益不動産であっても、使ってくれる方の喜びを自分の喜びとしていく。その愛を大切にしてほしいと思っています。
愛着とは感情論ではありません。維持管理の質を高め、価値を持続させるための戦略です。万人向けの中途半端な空間より、特定の誰かに深く刺さる空間をつくる選択が、不動産を長く選ばれ続ける存在に変えていきます。
愛着は、精神論ではなく不動産戦略である。
収益不動産にも、愛を!