オフィス空間リノベーションが、採用を変えた。 ——鳴門市HIROKAオフィスの設計プロセス
今では人も増えて、事務所の机もどんどん埋まってきています!」
オフィスが完成してから、株式会社HIROKA役員の山口美保さん(奥様)からこんな言葉をいただきました。オフィスのリノベーションが、採用を変えた。これは偶然ではありません。
HIROKAオフィス 大会議室外側
鳴門市で聞いた、忘れられない話
プロジェクトが始まる前、HIROKAの旧事務所を訪ねたとき、鳴門市の役所の方をご紹介いただきました。そこで聞いた話が、頭に残っています。
「鳴門を出ていきたいと思っていない若者も、仕事がないから都会に行ってしまうんです。」
これはどの地方も抱えている課題です。でも、よく考えると怖いことがあります。10代の子が、兄や姉が大人になって都会に出ていく姿をずっと見続けながら成長したとき、都会に行きたい・行きたくないに関わらず、「自分も都会に行くものだ」という常識が潜在意識に刷り込まれていく。
都会に行きたい子はそれでいい。でも、そこまで都会に行きたいわけでもない子が、潜在意識に刷り込まれた常識で都会に行くのはどうなのか。。。
HIROKAはそんな鳴門市に開発拠点を置くIT会社です。東京に本社を持ちながら、鳴門で事業を育ててきた。そして今回、事業規模拡大に向けてオフィス移転と採用強化を検討していました。
リノベーション前の様子
もともとあった文化が、空間になった
採用強化したい中核メンバーは、30代の子育て世代。でも子育て世代には、働くうえで困った事情がおきることがあります。夏休みや冬休みなど長期休暇のとき、小さい子供を家に置いておけない。預ける場所もなかなかない。預けるにしても費用がかさむ。
HIROKAの経営者夫妻は、もともとの事務所でこの問題に向き合っていました。従業員から相談を受けたとき、こう言ったそうです。
「だったら、会社に連れてきちゃえばいいんじゃない?」
こうして旧事務所にも、子供を連れてきていいキッチンスペースが生まれました。でも十分に広くはなかった。子供が一日過ごすには少し窮屈。新しいオフィスでも、この文化を引き継ぎ、もっと豊かにしたい。それが設計への要望でした。
すでにあった文化を、さらに強化して空間としても立ち上げました。
経営者夫妻の人生が、空間に現れた
代表の山口さんはボーイスカウト出身。「0から1へ」という開拓精神が会社の根底にある。奥様の美保さんは学園祭やお祭りの実行委員として、「楽しく自由に」を生きてきた。そしてお二人とも人の安心できる場所づくりをしたい、という思いのある方たちでした。
この二人がつくってきた会社だから、子供を連れてきてもいい文化が自然と根づいていた。その文化を、空間として立ち上げる。これがHIROKAのコンセプトの核心でした。
「若者が働ける未来の鳴門をけん引するパイオニアモデル」
単なるオフィスではありません。地域に根差し、自由なアイデアとコミュニケーションが生まれる場所。そして子供たちが親の働く姿を肌で感じながら過ごし、「将来は自分も地元で働きたい」と思えるような空間。
エントランスホールで山口代表が登壇。多目的に活用できる空間です。
休憩室で育つ子は、違う
完成したオフィスの休憩室は、子供たちが一日過ごせる遊び心のある空間です。畳の小上がりでゲームやアニメを楽しめる。キッチンで食事もできる。
でも、この空間の本当の意味はそこではありません。
ここで過ごす子供たちは、親が働いている姿を肌で感じます。家でダラダラしているお父さん・お母さんではなく、同僚や上司や部下と話をしている姿。真剣に仕事をしている姿。「ここで働いているんだ」という感覚が、日常として積み重なっていく。
実際に完成後の夏休み、休憩室では従業員の子供たちが集まって、20代のスタッフと一緒にゲームを楽しむ光景が生まれました。美保さんはこの光景を「微笑ましい」と表現してくれました。
休憩室——子供を連れてきてよいスペース
休憩室小上がりで子供も大人も楽しく過ごしています。
そんな子が大人になったとき、鳴門で働くことを自然にイメージできるのではないでしょうか。「鳴門で働くのが普通」という感覚が潜在意識の中で育つのではないでしょうか。
田舎で働けるところなんてない、という常識はただの思い込みなんだと思います。
このHIROKAオフィスは、ただ「子供を連れてきていい休憩室をつくった」という話にとどまりません。鳴門で働く若者の未来を、空間から創っているのです。
コミュニケーションが生まれる仕掛け
代表の山口さんはこう語っています。
「オフィス中に会話が自然に生み出せるような仕掛けを作ってます。カフェコーナーでもコーヒーを作っている間にスタッフ同士が会話できるように考えました。」
カフェカウンターでコーヒーを淹れる。そんな時間に、自然と会話が生まれる。美保さんが言った「コミュニケーションが生まれるオフィス」というコンセプトが、日常として機能しています。
カフェカウンターに集まったHIROKAメンバー
バーカウンター——来賓を招いてや社内パーティーなどにも活用できます
ワーキングスペース——作業スペースは明るく仕上げました
大会議室——オフィスの中に森を取り入れた空間
声
オフィスが完成してから、美保さんからこんな言葉をいただきました。
「心から感謝しています!コンセプトは『コミュニケーションが生まれるオフィス』。その想いを形にしてもらい、本当に素敵な空間ができあがりました。特にお気に入りなのはカフェカウンター。おしゃれで居心地が良く、ここで自然と会話が生まれています。こんな職場で働きたい!を形にしてくれた高瀬さん、本当にありがとうございます!」
その他にも山口さんご夫妻から、こんな言葉もいただきました。
「鳴門の若い子たちを引っ張っていきたいという思いが強くなった!」
「若い採用希望者の反応が良い!」
「スタッフが前よりイキイキしている!」
「銀行の心象がとてもいい!」
「素敵なオフィスができて、地元の方々にとても注目されるようになって、大手企業や鳴門市との提携が決まった!」
社員からのアンケートにも、こんな声が届いています。
「綺麗で広くて、何か気持ちが明るくなった気がする」
「徳島では他にないくらいおしゃれで過ごしやすいオフィス」
「個室があるので長期休暇に子どもを連れて勤務できる」
「自慢のオフィスだと話したい」
空間は、採用を変える。空間は、地域を動かす。
オーナーの人生を聞き、地域の文脈を読む。
すでにあった文化を空間として立ち上げる。
その空間が人を変え、組織を変え、地域を動かす。
「若い子がここで働きたいと求人に応募してくれている!
今では人も増えて、事務所の机もどんどん埋まってきています!」
美保さんのこの言葉が、物語っています。
MADARAの設計は、オーナーの人生の話を聞くことから始まります。
あなたの人生の話を、聞かせてください。